コラム

フランス領ポリネシア<タヒチ>の島花を「ティアレ」という。

ティアレは白を基本とした可憐な花で、花弁は6〜8枚あり日本の「くちなし」の花に良く似た甘い香りが多くの人々を虜にしているが、花びらが8枚あるのはとても珍しく<四葉のクローバー>を探すようだという。

タヒチアン達はこの花をこよなく愛し、老若男女誰もが髪に飾ったりHei(ハワイではLei)にして、特別な日はもちろん普段の日々の中で身につけてTiareそのものを、タヒチ国家とタヒチアン達の誇りにしている。

ティアレはタヒチの人々の生活に深く組みこまれたタヒチアンにとって無くてはならない特別な花。

花びらが6枚の一般的なティアレ
花びらが6枚の一般的なティアレ

見つけると幸せになるという8枚花弁のティアレ
見つけると幸せになるという8枚花弁のティアレ

美しいオレンジ色の8枚花弁のティアレ、他に黄色やピンクもある
美しいオレンジ色の8枚花弁のティアレ、他に黄色やピンクもある

*Te TiareのTeは冠詞

愛の花 香りの花Te Teiare

ティアレの花言葉は「幸せすぎて怖い」「愛しています」「誠実な愛」などLoveな言葉が多く綴られているように、恋人達や愛しあう夫婦、親子などなどが部屋に飾ってお互いの愛を分けあい、ブーケやレイにして贈りあったりする特別な花である。

他にもタヒチアン達のステータスであるOri Tahiti(タヒチアンダンス)を踊る時には欠かせない花で、レッスン時はもちろんコンテスト出場の時、Heivaと呼ばれるお祭りの際も髪に胸に腰にティアレを飾りダンスを楽しむ。

観光地タヒチを訪れるハネムーンの観光客の為に、ベッドサイドにティアレの花をアレンジして飾りつけ歓迎の気持ちを表すホテルもある。

又、その香りが甘美ゆえに多くの人達が心を奪われている。

タヒチをこよなく愛した画家ゴーギャンもNoa noaと名付けられた自身のタヒチ滞在記に「ティアレの香りを嗅いだ者は必ずこの島に戻ってくる」と書き残し、ティアレの香りにかけてタヒチの魅力を伝えている。

*Noa noaとはタヒチ語で「かぐわしき香り」という意味

タヒチアン達は昔からの製法で甘い香りのティアレの花びらを使い、ココナッツオイルに漬け込み<モノオイル>という精油を作り強い日差しや海水から髪やボディを保護して身体を清潔に保っているし、タヒチアンダンサーがステージに立つ際にも<モノオイル>を髪から足の先までたっぷりと塗って、激しいダンスで流れる汗を爽やかにライトに光らせて観客の目を釘付けにする。

遠い昔、西洋人が島を発見してタヒチに立ち寄った時、初めて見る島民達の清潔に保たれた甘い香りのするボディに異国の人達が魅了されたという逸話も残っている。

ティアレの香りは今も遠い昔も島人のみならず、タヒチを訪れる全ての人の心を掴み離れない。

ゴーギャンでなくても1度でもタヒチを訪れた事がある人は、その甘い香りと共に楽しく過ごした日々を思い出すだろう。

Te Tiareの伝説

ポリネシアン諸島にはそれぞれの島に伝わる多くの伝説があるが、タヒチにもそれがあり文字を持たなかったタヒチアン達は遥か昔より祖先からの口承で人々の生き方や、村や民族のルーツを伝えられ現在に引き継がれている。

どのポリネシアン諸島でも共通するのが「森羅万象全ての生き物にmanaが宿る」という考えであり、島の花として人々に愛されているティアレの花にもいくつかの伝説が残る。

*mana 精霊 スピリッツ

伝説には諸説あるので、この話が真実!というのは不明だが、どの話も悲しく美しく、勇敢であり教えがあるのでチャンスがあればタヒチに伝わる伝説も読んでみると面白いし、タヒチが少し分かってくるかもしれない。

<創造の花ティアレの伝説>

ティアレは、「美の神であるタネ」と「創造の海の神アテア」によって作られた創造の花であった。

その昔、創造物でありながらその美しさと甘美な香りに惹かれた神々達はティアレを自分の物にしようと常に争いが絶えなかったという。

その噂を耳にした「最高神タアロア」はタネとアテアを呼び、ティアレを見せるように命じた。

アテアの掌の中で美しく儚く置かれたティアレの姿を見てタアロアは深く感激し、この小さな白い創造物をこのままにはしておけないと考え、創造物であるティアレを植物としてかの国(地球)で生涯安全に過ごさせようと決めた。

タアロアはティアレの育成と生涯をタネとアテアに託し、ティアレを地球上で1番美しく気高く誰からも守られ愛される「花」としての命を授けたという。

ティアレはその時から単なる創造の花ではなく、植物の花としてしかもどの植物よりも高い地位で人々から愛される花として生まれ変わり、現在もその美しさを人々に見せ魅了させて生き続けている。

ティアレを摘むときには、必ずタアロアの許可を得てからという言い伝えがタヒチアン達の間には今も残る。

永遠の楽園に咲き続けるTe Tiare

タヒチアンダンスを習っている人は良く知っていると思うが、タヒチアンダンスのAparimaやAfuroaの歌詞には多くのティアレを歌った曲があり、どの曲も優しく綺麗なメロディでダンサー達が白を使ったパレオをセクシーに腰に巻いて踊る姿は印象的だ。

歌詞にはタヒチのティアレを尊く美しい女性に例えたり、島のティアレを摘んで恋人に捧げたりと平和な内容が多い。

それも愛の花と呼ばれるTiareゆえだろう。

髪にティアレの花をピックで挿したり、冠(Hei upo’o)にしたりと精一杯飾り付けて踊るタヒチの女性はティアレに負けず本当に美しい。

Te ramaite te tiare
Te tiare no Tahiti
Te tiare

ティアレそのものを歌にしたものに加え、各島々をテーマにした曲にも必ずティアレが歌われていてティアレの曲は実に多い。

タヒチアンの暮らしに欠かせないティアレは生活の一部であり、まさしく楽園に咲き続けるタヒチの花と言えるだろう。

*Aparima 歌の入ったテンポの速い曲
*Afuroa ゆったりとした歌入りのワルツの曲

Rinko

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